瀬戸・美濃系擂鉢(分目要害城跡)

更新日:2022年04月18日

瀬戸・美濃系擂鉢(せと・みのけいすりばち)

2つの黒く古い擂鉢が置いてあり、左が右側上部が少し欠けている擂鉢、右が上部半分が欠けている擂鉢の写真

出土地

分目要害城跡(わんめようがいじょう)

遺跡所在地

分目(わんめ)

時代

戦国時代(16世紀後葉)

解説

 分目要害城跡は文献に登場しない遺跡ですが、整った縄張りから、戦国時代後期の城郭と考えられています。発掘調査の結果、実際に16世紀の陶磁器類が発見されています。ここで紹介する擂鉢もその一つです。
 この2点の擂鉢は井戸跡の中層から発見されました。人骨も伴っていることから、廃絶井戸を土壙墓に転用した可能性があります。その場合、擂鉢2点は遺体とともに埋められたことになりますが、これらを埋めた意味ははっきりわかりません。
 擂鉢はどちらとも瀬戸・美濃地域で生産されたもので、大窯第3段階前半に属し、16世紀後葉に消費されたものです。
 浅黄色の素地に錆釉を施しています。裏底はロクロから切り離す際に付いた回転糸切痕をそのまま残しm錆釉を施しています。
 向かって左側の個体が最大径29.5センチメートル、口径28.4センチメートル、底径11センチメートル、器高13.8センチメートル、右側の個体が最大径29.5センチメートル、口径298.4センチメートル、底径11.5センチメートルで、全くの同サイズです。同じ生産ロットから搬入されたのかもしれません。
 現在のご家庭で使われている擂鉢とほぼ同じイメージですが、擂り目が少ない点で違いがあります。底部は3条の擂り目を交差させています。
 底部は使用により錆釉が落ち、素地が見えていますが、体部の擂り目は磨耗しておらず、他の出土品に比べると、使用による劣化は少ない状態です。

関連リンク

この記事に関するお問い合わせ先

市原市埋蔵文化財調査センター

〒290-0011 千葉県市原市能満1489番地

電話:0436-41-9000
ファックス:0436-42-0133

メール:bunkazai-center@city.ichihara.lg.jp
休所日:土曜日・日曜日・祝日