「王賜」銘鉄剣

更新日:2022年04月18日

「王賜」銘鉄剣(おうしめいてっけん)

白い背景に、全体的に錆びていて、刃の持ち手寄りの部分に、銀象眼の銘文が刻まれた長さ約73センチメートルほどに復元された「王賜」銘鉄剣の写真
銘文の釈文(王、賜、敬)が刻まれている「王賜」銘鉄剣の拡大写真

出土地

稲荷台1号墳(いなりだい)

遺跡所在地

山田橋(やまだばし)

遺構

円墳埋葬施設内

時代

古墳時代中期中葉

解説

 直径27メートルの円墳の埋葬施設から、短甲・剣・鉄鏃・刀子・大刀・胡ロク・きさげ状工具・砥石などといっしょに発見されました。TK208型式期の須恵器の出土から、古墳の構築年代は5世紀中葉から後葉の早い段階のようです。
 鉄剣は長さ約73センチメートルほどに復元できます。刃の持ち手寄りの部分に、X線写真によって銀象眼の銘文が発見されました。

銘文の釈文

(表)王賜  敬[安])
(裏)此廷[刀]   

読みの一例

王  (剣の意味)を賜フ。敬ンデ[安]ゼヨ。
此ノ廷[刀]ハ   (吉祥句)

銘文の趣旨は「王賜  」にあり、王から鉄剣を授けた(古墳の被葬者から見れば"下賜"された)ことを表現したものと考えられます。それでは、この刀はだれから下賜されたのか、つまり「王」とはだれであったのか、以下の5つが考えられます。

  1. 畿内の大王
  2. 大王の一族
  3. 中央の豪族
  4. 地方の豪族
  5. 百済・新羅など朝鮮半島の国王

 天皇につながる1番ではないか、というのが多数意見です。武具の副葬が目立つことから、稲荷台1号墳に葬られた人は、武人として畿内王権に仕え、功績を立てたのかもしれません。

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