市原市埋蔵文化財調査センターの仕事 整理作業

更新日:2022年04月18日

-整理作業-

それぞれ袋に入った発掘したものを洗面台のざるの上で洗っている写真

1.水洗

 遺跡から出土した遺物を水で洗うことから、整理作業はスタートします。
 土器は割れ口をよく洗っていないと、あとで接合するときにくっつきにくくなって、困ります。

右側にノートパソコンを置いた机の上で機械の前に座った女性が作業している写真

2.注記

 洗われた遺物は、出土した遺跡の地区や遺構を示す番号を小さく書き込みます。
 以前は手書きがほとんどでしたが、最近は専用のインクジェットプリンターで吹き付けることが多くなりました。

細かく割れてしまった土器をテープでつなぎ合わせている作業の写真

3.接合

 土器は遺跡から出土しても、ほとんどが割れてしまっています。同じ遺跡から出た土器の破片を根気よく、つなぎ合わせて復元を進めます。

事務机が3つほど並んだ場所で書類性入りをしている男性と女性の写真

4.記録類整理

 発掘調査で記録した、平面図や写真などを整理します。接合の時に注記をチェックして、どこから出たもの同士が付いたかなど、新しいテーマの図面も作成します。

卓上ライトの下に土器を置いて光を当て、その絵を描いている女性の写真

5.実測

 遺物の形の図面(実測図)を描きます。この図は、単なる絵ではなくて、どのようにそれが作られたかがわかるような描き方をします。もちろん大きさも正確に測ります。
 独特な図面なので、描くための道具も様々なものが使われます。

発掘した土器を正確に測り、鉛筆で描きうつした実測図の画像
緑の丸い台の上に置いたつぼ型土器とその脇にもう一つ口の広い土器が置かれている写真
通路の奥にある机の上に置いた土器を遠く離れた場所から写真撮影しようとしている女性の画像

 最近はデジタルカメラで撮影して、画像を加工し、遺物実測図作成に利用しています。

右手の方に墨があり、小さな丸いスタンプのようなものを押している女性の写真
版画のように拓本された土器の写真

 図面で表現しにくいものは、拓本(たくほん)で写し取ります。拓本は、写したいものに、湿らせた和紙をぴったり貼り付けて、その上から墨を打つ、という方法です。魚拓と違って、物の方は汚れません。

下からライトで照らす机で虫眼鏡を左手に持ちながらトレース作業をしている女性の写真

6.トレース

 発掘調査の報告書にのせる遺構や遺物の図を、縮小して製図用のペンでトレースします。

土器の実測図をペンでトレースした図の画像
ブラウン管型のパソコンで作業をしている女性とその隣で書類を見ている女性の写真

 最近はスキャナでパソコンに取り込んで、画面上でトレースすることも増えています。デジタル化しておくと、次のレイアウトの段階でも都合が良くなります。

トレースしたデータをデジタル化しているパソコン画面の写真
事務机に重ねられたA3サイズ位の紙をめくっている女性の写真

7.レイアウト

 清書した遺構の図面や実測図を、報告書のページの大きさに合わせて配置していきます。
 デジタルトレースしたものは、パソコンの中で配置までできます。

5ミリメートル方眼の紙にトレースした土器の絵を形に切り取ったものを並べている写真
机の周りに白い紙を立て、いくつものライトで光を当てながら写真を撮っている写真

8.写真撮影

 遺物の写真を撮影します。遺物の種類によって、上から撮ったり横から撮ったりします。

右側に本を開きながらパソコンに向かって文章を打ち込んでいる男性の写真

9.原稿執筆

 発掘現場の様子や、整理作業を通じて明らかになったことを文章にします。わかりやすくするために、グラフや表をつくることが多いです。

正面に立てられた本が何冊もあり左にはページが開かれ、右には扇形に並べられた冊子がある写真

10.報告書刊行

 完成した報告書は各地の教育委員会・図書館・研究機関・大学などに配布され、研究のための資料として活用されます。
 整理作業の終わった遺物は、整理・分類して収蔵されます。

縦に4つ重なった段ボール箱が大量に並んでいる写真
緑の棚にグレーのケースが重なって大量に収納されている写真

この記事に関するお問い合わせ先

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