三彩洗(上総国分僧寺)

更新日:2022年04月18日

三彩洗(さんさいせん)

紺色の背景に、苔のような緑色や焦げたような茶色、ベージュなどの色味を帯びて、いびつな長方形をした陶器の破片の写真
紺色の背景に、苔のような緑色やベージュなどの色味を帯びて、いびつな長方形をした陶器の破片の写真

出土地

上総国分僧寺跡

遺跡所在地

国分寺台・惣社(こくぶんじだい・そうじゃ)

遺構

627ピット

時代

鎌倉時代(13世紀)

解説

 中世に復興されたと思われる上総国分寺の付属館跡から発見されました。数点の破片がありますが、すべて同一個体と思われます。
 「洗」とは、たらい状の洗顔容器と思われ、古瀬戸や常滑の模造製品が知られています。しかしこの例は中国南部で焼かれたブランド陶器です。
 銅緑釉と鉄釉を用い、カラフルな3色を表しています。見込みには牡丹文と思われる線刻画を描いています。
 大変珍しく、出土例としては、大宰府学校院跡、京都中堂寺坊城町遺跡、鎌倉長勝寺、千葉県君津市外箕輪遺跡などが知られており、13世紀の後半に使われたようです。
 これとほぼ同じ製品としては、銅緑釉のみを用いた緑単色の緑釉洗があり、茨城県つくば市の史跡小田城跡、千葉県市原市の郡本遺跡などから発見されています。
 三彩洗・緑釉洗とも、かなり高級な器です。地方での消費は有力御家人や有力寺社に限定されたものと考えられますので、中世の上総国分寺も大きな権威があったのでしょう。宝器として一定の期間、大切に保管されていたものと思います。
 二次的に被熱していることから、火災に遭った可能性があります。
 京都の醍醐寺には、これと同型の品が伝世しており、代々雨乞いの儀式に利用してきたそうです。

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