ここまでわかった市原の遺跡2 上総国分僧寺展7

更新日:2022年04月18日

平安の伽藍再建

9世紀中葉から後葉にかけて行われたであろう伽藍の復興創についてパネル解説しているブース7の展示風景の写真

展示風景 このブースでは、9世紀中葉から後葉にかけて行われたであろう伽藍の復興創についてパネル解説しています。

 上総国分僧寺の主要伽藍は、調査面積が少ないため明確になっていません。
 しかし中門・回廊・南大門跡から掘立柱の痕跡が発見され、礎石建ち建物から掘立柱建物に建て替えられたと考えられるようになりました。
 ある時代にB期伽藍を建て替える必要が生じ、以前と同じ規模で再建したのですが、その際に瓦葺きを止め、桧皮や板葺きなどの軽い屋根に替わったことを意味するからです。
 主要伽藍を建て替えた画期としては、9世紀中頃の伽藍焼失が思い浮かびます。
 その頃は政所院が健在であり、どうにか伽藍は再建されました。
しかし瓦を葺くことができなかったとすると、七重塔の再建は無理だったかもしれません。

茅葺きにされた上総国分僧寺復興伽藍の想像図

復興伽藍の想像図
 南大門については、掘立柱建物として掘り直された柱掘形内から10世紀の土師器が出土しているため、他の伽藍よりも掘立化が遅れた可能性がある。
 図では南大門以外の伽藍すべてを板葺きにしているが、一部に旧来の建物が残っていた可能性も高い。
 今後の調査成果の蓄積が待たれる。

クリーム色を中心とした直列配置の講師院と、政所院が描かれた伽藍再建時の附属施設の図

伽藍再建時の附属施設
 講師院は並列配置から直列配置に変わり、政所院と空間意識を共有するようになる。
 そして講師院・政所院ともに、政所院前庭を囲むように、中心建物に廂を付ける。

 この時期に両院が大きく様変わりしたことは、伽藍再建に向けた施設の再編を示すのだろうか。

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