ここまでわかった市原の遺跡 西広貝塚展3_1
貝塚のなかみを調べる

展示風景 貝塚から出土した魚貝類や動物の骨を展示し、現生動物のサンプルと比較してみました。膨大な貝を分類する秘密道具も一挙公開。
西広貝塚の発掘調査で特筆されるのは、貝塚の貝層の全てを捨てずに持ち帰ったことにあります。貝塚は、通常の遺跡には決して残らない貝や骨などがとてもよく残るため、「情報の宝庫」と言われることがあります。けれど、この貴重な資料をもれなく回収するには、それなりの調査をしなければなりません。そこで、西広貝塚の発掘調査では、現場で貝層の全てを採集し、整理作業の段階でそのなかみを詳しく調べる方法をとりました。
しかし、4次調査から7次調査までの間に採集した貝層の総量は整理箱37,000箱にもなり、これらの整理・分析に要した期間は10年にもおよびました。このうち、貝層の水洗いと内容物の拾い出しだけに、整理期間のおよそ半分の5年を費やしました。
大規模貝塚の全域調査と貝層の全量採集、そしてその全てを整理・分析すること。第1次調査から35年の歳月をかけ、西広貝塚でおこなわれたことは、全国的にみても全く前例がありません。しかし、失われゆく貴重な貝塚のなかみを詳しく調べ記録に残すことは、私たちに課せられた使命であり、遺跡を発掘した者の責任でもあるのです。
整理作業の経過

野外サンプリング調査

1 貝層断面の観察と断面図の作成

2 断面図にあわせて、層ごとに発掘する

3 発掘地点ごとに層ごと箱づめして運搬
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更新日:2022年04月18日