土器石貝塚

更新日:2022年04月18日

縄文時代

土器石貝塚 かわらけいしかいづか

縄文土器の絵が描かれている浄水場のフェンスの写真

遺跡の現況 (浄水場のフェンスには、縄文土器が描かれている)

 遺跡は、養老川中流域右岸の標高77メートル前後を測る台地上に位置します。福増浄水場の建設に伴い、昭和62年(1987年)から平成元年(1989年)にかけて財団法人千葉県文化財センターによる調査が行われました。なお、遺跡分布地図では土器石遺跡及び土器石貝塚ですが、調査は武士(たけし)遺跡の名称で行われています。
 台地平坦部のほぼ全域が調査された結果、縄文時代中期後半から後期中葉の住居跡が423軒、掘立柱建物跡3棟、土坑879基、埋甕・屋外埋設土器77基などが見つかり、後期前葉(堀之内1式)を主体とする大集落であることがわかりました。このなかには柄鏡形をした住居跡や亀甲形に柱を配置する掘立柱建物が含まれ、関西系土器の出土とともに注目されています。
 住居跡の覆土や遺跡の斜面部には、後期前葉小規模な貝塚が形成されており、詳細な分析が行われています。このなかでは、遺跡から海岸線までの距離が10キロメートル近くもあることから、海産貝類を大量入手するという生業スタイルが早々に放棄され、貝塚の形成が短期間で終わった可能性が指摘されています。また、貝塚からは淡水魚の出土する比率が高いことから、より身近な食料資源を利用する方向にシフトしていったのかもしれません。

参考文献

『市原市武士遺跡1』財団法人千葉県文化財センター 1996年
『市原市武士遺跡2』財団法人千葉県文化財センター 1998年
加納 実 「215 武士遺跡」『千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代)』 千葉県 2000年

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