南総中学遺跡（旧石器）

 遺跡は養老川中流の右岸支流となる内田川を見下ろす標高48メートルの台地上にあります。内田川は遺跡北側を東西方向に流れ、遺跡の位置する台地と内田川対岸の安久谷地区との比高差は20メートル以上あります。
 最初に石器が見つかったのは縄文時代中期の竪穴住居跡調査中でしたが、その後調査区が設定され、ソフトローム中からナイフ形石器、片面加工尖頭器、両面加工尖頭器、石器の材料である石核や、素材の剥片、石器を作る時に出る砕片が、4メートル×5メートルの範囲に楕円形状内に点々と出土したと報告されています（三ッ木1978年）。
 近隣の台地上には、同じく旧石器の採集された雪解沢遺跡等を含む江子田遺跡があり、旧石器の遺跡群として紹介されています（田村1984年）。いずれも、養老川中流域の旧石器時代を知るうえで重要な遺跡です。

三ッ木貞夫 1978年 「第1節 先土器時代」 『千葉・南総中学遺跡』 市原市教育委員会
田村 隆 1984年 「市原市南総中学校遺跡群」『房総考古学ライブラリー1 先土器時代』財団法人千葉県文化財センター
千葉県教育委員会 1999年 『千葉県埋蔵文化財分布地図（3）−千葉市・市原市･長生地区（改訂版）』