瀬又南遺跡（旧石器）

 遺跡は、市原市の北東部と千葉市の南東部の境界付近に位置します。村田川の支流によって樹枝状に開析された舌状台地上にあり、標高は70メートル前後です。遺跡が立地する台地は、北側と南側に小支谷が侵入し、南西へ延びる尾根状の台地です。瀬又北遺跡は、北側の谷を挟んでその北側の台地上にあたります。
 旧石器時代の遺物が出土したのは台地の南側縁部で、立川ローム層中から、3つの単位（ユニット）が検出されました。第1ユニットは第3層（約1万5千年前）、第2ユニットは第7層、第3ユニットは第6〜7（上部）層（約2万5千年前）です。
 第3ユニットからは、南北4.3メートル、東西5.1メートルの範囲から86点の遺物が出土しています。内訳は、ナイフ形石器2点、石核2点、剥片および砕片が82点で、石材別では、頁岩（けつがん）71点、流紋岩質凝灰岩（りゅうもんがんしつぎょうかいがん）7点、玄武岩（げんぶがん）3点、メノウ1点、安山岩（あんざんがん）1点、凝灰岩1点、不明2点です。第3ユニットは、他の2ユニットが安山岩を主体とするのに対し、頁岩を主体としている点で様相が異なります。また、接合資料が8点と比較的多いことも、このユニットの特徴の一つです。

『市原市瀬又北・瀬又南、千葉市大木戸・板倉町遺跡』財団法人千葉県文化財センター 1984年