「王賜」銘鉄剣
「王賜」銘鉄剣(おうしめいてっけん)
出土地
稲荷台1号墳(いなりだい)
遺跡所在地
山田橋(やまだばし)
遺構
円墳埋葬施設内
時代
古墳時代中期中葉
解説
直径27メートルの円墳の埋葬施設から、短甲・剣・鉄鏃・刀子・大刀・胡ロク・きさげ状工具・砥石などといっしょに発見されました。TK208型式期の須恵器の出土から、古墳の構築年代は5世紀中葉から後葉の早い段階のようです。
鉄剣は長さ約73センチメートルほどに復元できます。刃の持ち手寄りの部分に、X線写真によって銀象眼の銘文が発見されました。
銘文の釈文
(表)王賜 敬[安])
(裏)此廷[刀]
読みの一例
王 (剣の意味)を賜フ。敬ンデ[安]ゼヨ。
此ノ廷[刀]ハ (吉祥句)
銘文の趣旨は「王賜 」にあり、王から鉄剣を授けた(古墳の被葬者から見れば"下賜"された)ことを表現したものと考えられます。それでは、この刀はだれから下賜されたのか、つまり「王」とはだれであったのか、以下の5つが考えられます。
- 畿内の大王
- 大王の一族
- 中央の豪族
- 地方の豪族
- 百済・新羅など朝鮮半島の国王
天皇につながる1番ではないか、というのが多数意見です。武具の副葬が目立つことから、稲荷台1号墳に葬られた人は、武人として畿内王権に仕え、功績を立てたのかもしれません。
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更新日:2022年04月18日