012重圏文軒丸瓦

更新日:2022年04月18日

高橋康男

出土地

上総国分僧寺跡
 

遺跡所在地

国分寺台地区
 

時代

奈良・平安時代

丸くて薄茶色い円盤の中に溝のような線があり太さがバラバラで何重にもなっている土器の写真

写真1 圏線の太い有芯重圏文軒丸瓦

 上総国分僧寺跡からは、圏線の太い有芯重圏文軒丸瓦(ゆうしんじゅうけんもんのきまるがわら)が出土しています。これらはさらに、三重圏文二種、二重圏文一種に大別されます。
 三重圏文のうち一種は(写真1)、最も内側の圏線が他の二本の圏線よりも細いことが特徴的で、市内では光善寺廃寺に同笵例があります。

丸くてうす茶色い円盤の中に溝のような線が何重にもなっている土器の左上が少し欠けている写真

写真2 圏線がほぼ同じ太さの有芯重圏文軒丸瓦

 もう一種は内側の二本の圏線がほぼ同じ太さのものです(写真2)。これら二種のうち前者が、B期伽藍の創建段階のものとされています。

丸くて焦げ茶色の円盤の中に溝のような線が三重になっている土器の写真

写真3 二重圏文軒丸瓦

 二重圏文軒丸瓦(写真3)は、僧寺の補修瓦を焼成した南田2号窯から出土しており、平安時代の所産と考えられています。
 このような重圏文軒丸瓦と組み合う軒平瓦は重郭文軒平瓦と考えられますが、これまでに、若干の基礎的な整理をした範囲では、重圏文軒丸瓦と重郭文軒平瓦の数量が、アンバランスといえるほど、重圏文軒丸瓦の量が勝っています。
 整理作業が終了するまで、確定的なことはいえませんが、重圏文と重郭文の組み合わせにあまりこだわりがなかったのかもしれません。

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