菅原孝標の女の更級いちはら紀行 私も歩んだ?足下に眠る平安の夢路 上総の東海道

(菅原孝標の女)(なるみ)みなさん、こんにちは! 今回は平安いちはらの古道をたどります。
(菅原孝標の女)千年ぶりの市原、すっごく変わりましたね。あの海岸風景をもう一度眺めたくて、市原台地に登ってみたのですが、なんと目の前に万里の長城が!さすがは兵乱多き坂東ですねえ。
(なるみ)ああ、あれは「館山自動車道」。城壁じゃなくて自動車専用道路なのよ。
(菅原孝標の女)いやはや。現代交通状況の凄まじきこと、限りありませんね。
(なるみ)その陰にひっそり生き残る古来のルートを見つけましたので、探訪したいと思います。
(菅原孝標の女)私のころと多少は変わりましたが、平安いちはらを偲ばせてくれそうです。それでは、いざ。

市原市域の古代道想定図
上の図を見てください。メインルート推定候補のひとつとされる線を赤で示しました。これに対しオレンジラインも古いルートで、こちらがメインの可能性もあり、断定できませんが、本コーナーでは仮に主要道や支道と捉えておきます。
メインルートは、武蔵国の東海道本道から分岐し、東京湾岸に沿って上総まで延びてきたものと考えられます。仮に古道1(赤)がメインだとすれば、古道2は上総国府に向かう引き込み線を兼ねていたのかもしれません。実際に古道2は、市原台地に展開する上総国分僧寺・尼寺、稲荷台遺跡などの重要遺跡群につながっていきます。
今後の予定として、まずは古道1(赤)をたどってみたいと思います。

(菅原孝標の女)ちなみに上図の神社は、古代から信仰を集めた由緒あるものです。なかでも島穴神社と姉崎神社は、延長5年(927)にまとめられた官社事典、『延喜式』神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)に記載され、「式内社」(しきないしゃ)と呼ばれています。
この二社は官社ですから、毎年2月の祈年祭では、国司が幣帛を奉っていました。父孝標も公務で参拝する機会があったんじゃないかしら。

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更新日:2022年04月18日